お茶の楽しみ方は人それぞれであり本当にたくさんの楽しみ方があると思う。
日本人にとって日本茶は身近なものであり、誰もが気軽に楽しめるものの一つだと思う。
僕がお茶を通して食品セミナーをすると、
必ず来る質問の一つに茶殻は食べますか?というものがある。
答えは簡単、食べません。で終わりだ。
そんな僕でも茶殻を眺めることは好きだ。
1煎~5煎までお湯を入れ、だんだと拡がる茶葉の様子は美しい。
急須の中から茶園が見えますよね。って大袈裟にいう事も確かにある。
煎を重ね茶葉が開くことにより、茶葉の持つ旨みも香りも湯呑の中のお茶に移ることとなる。
そして急須の中のお茶の葉は文字通り茶殻…すなわちガラとなる。
ボーンブロスで表現すると分かりやすいだろう。
鶏ガラスープのガラを食べる人はどのくらいいるのだろうか。
1週間煮込めば味は出尽くすだろう。
同じようにお茶の葉も5煎6煎と味と香りが出尽くすまで楽しむことができる。
仮に、味を残した状態の2煎目や3煎目の茶葉ならば、
ガラと呼ぶにはもったいないから、話が分からないでもない。
でも、それならば、ちゃんと初めからお茶の葉を食べた方が美味い。
この辺りの話を僕は『茶を通し食を知る』のセミナーで話をするのです。
炊き立てのご飯で、食べる玄米茶をふりかけて試食する。
こんなにお茶の葉って美味しいのですか?みんな感動してくれるのです。
日本茶の雑誌やブログで茶殻で佃煮とか茶殻でふりかけとか、
茶農家やお茶の専門家が真顔で茶殻レシピの話をする場を目にする。
味覚は大丈夫だろうかと心配になってしまうのです。
お茶を愛する人に悪い人はいないだろうが、
美味しさを本当に伝えたいのであれば、
無理したレシピの提案などはしてはいけないのです。
自然体こそが一番、知りたい人の心に届くものなのです。
写真の平型急須はお茶の淹れ方が上手になる急須です。
この急須を使って、お茶の葉の様子を注意深く眺めていれば、
ある時から急にお茶を淹れるのが上手になります。
ハッと気が付くこと。
その時に、平型急須の良さを知ることになります。